1.どのような業界か
建設機械業界は、ビルや道路・ダムなどを造る工事現場で使う大型“はたらく機械”を開発・製造・販売・レンタルする業界である。
2.具体例と代表企業
用途 | 主な機械 | 日本の代表企業 | 海外の代表企業 |
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掘削 (土を掘る) | 油圧ショベル | コマツ, 日立建機 | Caterpillar (米), SANY (中) |
運搬 | ダンプトラック | コマツ, 日立建機 | Volvo CE (瑞) |
整地・舗装 | ブルドーザー・ロードローラー | 住友建機, コマツ | Deere (米), XCMG (中) |
クレーン | ラフテレーンクレーン | タダノ, 古河ユニック | Liebherr (独) |
小型建機 | ミニショベル | コベルコ建機 | JCB (英) |
3.市場規模と成長率
指標 | 2024年 | 2030‑32年見通し | CAGR* |
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世界市場規模 | 1,614億 USD (フォーチュンビジネスインサイト) | 約 2,713億 USD (2032) (フォーチュンビジネスインサイト) | 6.7 % |
日本の出荷額 (CEMA) | 3.33兆円 (FY2024予測) (cema.or.jp) | 微増(過去最高水準を維持) | ― |
4.トレンド
電動化(EV・燃料電池)
バッテリー式ミニショベルや燃料電池ブルドーザーの実証が拡大。静音・排ガスゼロで都市工事に強み。
スマート&自動化
GNSS(衛星測位)+センサーで半自動掘削、ドローン測量→3Dデータ連携。Deereやコマツは遠隔操作・AI搭載機を投入。
レンタル・シェア拡大
工期が短い工事が増え、「買うより借りる」が主流に。IoTで稼働データを可視化し、料金は時間課金へ。
5.課題とビジネスチャンス
課題 | 背景 | チャンス |
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景気連動の波が大きい | 公共投資や住宅着工に左右される | アフターサービスやサブスクでストック収益を拡大 |
技能者・オペレータ不足 | 少子高齢化で若手が減少 | 自動運転・遠隔操作機で省人化、ゲーム感覚の操作教育 |
環境規制の強化 | EU・北米で排ガス Stage V/Tier 5 | 電動建機、低炭素燃料エンジン、バッテリー交換式ビジネス |
価格競争の激化 | 中国メーカーが低価格を武器に台頭 | 日本製は高品質+ICT連携でプレミアム路線、サービスで差別化 |
6.今後の展望
電動・水素機の比率が2030年に20〜30 %へ:都市部やトンネル工事で需要が高まる。
フルオート施工現場の実用化:測量→設計→施工→検査をデジタルで一気通貫、夜間無人施工で生産性2倍。
中古機 × IoT:車両状態をクラウドで監視し、海外へ再販する循環モデルが拡大。
インド・ASEAN・アフリカが“次の主戦場”:都市インフラ整備で機械需要が年10%規模で伸長。